身体にとって水は,生命活動に必要な栄養素,二酸化炭素,代謝産物,老廃物,ホルモンなどの運搬や体温調節などに必要です。身体の55~60%は水でできていて,平均的に女性のほうが体脂肪率が高いので,男性より水の割合が少ないといわれています。「水を飲むだけ」で太ったり,「汗をかけば痩せる」ことなど,水の分だけ一時的に増減することはあっても,肝心の体脂肪に影響して体重が増減することはありません。仮に,水を飲んで体重が長時間増えたままの場合は,腎臓の働きが悪くて余分な水分を排泄できなくて「むくんだ」と考えられます。
運動による水分の減少
運動をすると体内の温度が上昇します。体温を下げようとして,身体の中心の温かい血液が,からだの表面に送られます。皮膚の表面に汗をかくのは,汗を蒸発させることによって皮膚が熱くならないように冷やす目的があるからです。ところが,さらに運動強度が高くなると,汗によって身体全体の血液量が減少している上に,筋に送る血液が増加するので,皮膚に送ることができる血液が不足して体温調節ができにくくなります。汗によって血液中の水分が減少することは,粘性が高まり流れにくくなることにもなります。こればバテるということで,それ以上運動を続けることができなくなる理由です。
途中で水分を補給しないで30分運動を行うと,水分を補給した場合と比べて明らかに心拍数が高くなります。30分以上運動を継続する場合には,運動中にも水を飲んで水分を補給し,血液の絶対量の減少や,血液の粘性の増加を防止すベきです。
水の飲み方
継続した30分以上運動では,汗の出方を見ながら水分を補給する必要が出てきますが,陸上の暑いところで運動したりする場合などは特に,途中で水分を計画的に補給する必要があります。水を飲むのを我慢して,その後一気にがぶ飲みすると,お腹が痛くなったり,からだがだるくなったりしますが,その理由は水の飲み方にあります。喉の渇きの感覚に頼らず,運動の前後の体重がどのくらい体重が減るを測って,その体重の減少量の半分以上を何回かに分けて飲むようにします。体重の1%(キロ単位での減少)以上減ることがないように注意すべきです。
飲み物はいつ何を飲むか
スポーツドリンクは運動中に水分を補給する飲み物で,身体に吸収される速度も速いと思われているが,水と比較して吸収速度が特に優れているわけではありません。発汗量が多い運動を行うと,汗とともにミネラルも失われるので,ミネラル分を含むスポーツドリンクを飲んだ方がいいという程度です。アスリートでない限り,水分の摂取ということだけを見ると「体重の減少分を水で補う」と考えるだけでいいとい言うことになります。運動を開始する前に,糖分を補給する目的でジュースやコーラを飲み,空腹時にはスポーツドリンク,運動時には水を飲むと理解しておけばいいでしょう。
「健康は朝一杯の水から」とは,言い伝えられている手軽で効果的な健康法です。人間は1日に2リットルの水を摂取しおなじ量の水を尿や汗を,呼吸とともに対外に排出している。夜寝ているあいだも皮膚から失われるので朝起きたらすぐコップ一杯の水を補給すると新陳代謝をうながし,自律神経が目覚め体も頭もすっきりして食事がとてもおいしいくなります。特に便秘の解消には,絶大の効果があります。