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平泳ぎのストロークテクニック

平泳ぎは、クロールや背泳ぎが腕や足を交互に動かすのに比べ、左右対称にしかも同時に手歌詞を動かさなければならないのが特徴です。

平泳ぎの最適なボディポジションは、からだが常に水面近くに水平に保たれ、余分な垂直な動きをできるだけ少なくすることです。

ルール上水中に頭が没することが許されても、強力なプルによって上体が水上への持ち上げられても、肩とヒップは水中の高い位置に保たれなければなりません。

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平泳ぎのタイミング

平泳ぎのプルとキックのタイミングは、水中動作が多く抵抗が大きな平泳ぎには欠かすことができません。

  1. うつ伏せに両手を揃えて腕は前方に伸び、脚はつま先まで伸ばした状態で親指を合わせしっかりと伸ばします。
  2. 脚が伸びた状態のまま、両手同時に掌を横に開きながらプルを開始します。
  3. 手が内側に向かい掻き込み始めるのと同時に、背筋を使って足をヒップに向かって引きつけます。
  4. キックは、掻き終った手を前方に伸ばしながら蹴り出します。
  5. キックが蹴り終わって足が合わされると、腕はしっかりと前方に伸ばされます。
  6. この身体がフラットに伸びた状態は、プルを開始するまで身体が水中を滑っている間は維持します。

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平泳ぎのプル

平泳ぎのプルにおける手のひらの動きは、推進力が揚力によって得られるという、流体力学の証明の見本のようなものです。

  1. プルは肘が前方に伸ばされた状態から、手のひらを少し外側に向けるように、手のひらに角度を付け、手を開いて(アウトワードスカル)いきます。
  2. 手と手を開きながら、手のひらは肩の線を越して外側へ水をプレスします。このときの手の位置は、最初に伸ばしたときの肘の位置を越すまでしっかりプレスします。
  3. 手が肘のラインを超えるか越えないかのときに手のひらは内側(インワードスカル)に水を抱え込みながら手のひらの方向を変えます。
  4. この内側への掻き込みは、肩のラインを超えることはありません。なぜなら、インワードスカルに移った瞬間に水面上に出た上体は落ち始めプルはリカバリーに入ります。

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腕の開きとスカーリング

手を最大に開いたときでも、前方から見た場合、肘は手のひらよりも高くなければなりません。

つまり、水面と平行に手を開くのではなく、下方に水をプレスしながら手を開いてプルを開始します。

手のひらを後方に向けながら、肘を立てると同時に手のひらは内側にスカーリングします。

このインワードスカルといわれる動作は、手のひらが胸の前で止まったりせずに、リカバリーの最初の段階に向かって加速しなければなりません。

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プルによる手と肘の関係

肘をまっすぐ伸ばしたままの状態でプルが広すぎ、手のアウトワードスカルが長すぎると、結果としてヒジや手までが肩のラインからはみ出してしまいます。

広すぎるプルで手が肩のラインを越えて、手が肋骨まで引かれると、からだが沈み始めて手のリカバリーで大きな抵抗をうけてしまいます。

そこで手によるアウトワードスカルは、手が肘のラインを越える前から肘を曲げて、肩のラインを超える手前には、インワールドスカルに移らなければなりません。

肘を曲げて水をしっかりプレスしなかったり、手が肘を超えないうちにインワードスカルに移ると、プルは狭くなり十分な推進力を得ることはできません。

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肘と手のひらの使い方

ストロークの間中、肘を高く保ちながら手のひらの角度を変化させることによって、水をしっかりとつかみ続けることができます。

効果的なスカーリングの動作をするためには、肘を高く保った状態でプルすることと、肘に連動して手首も高く保たれる必要があります。

この肘と手首との関係は、インワードスカルの時に特に重要です。肘を立てることによって、前腕と手首が高く保たれるので、手のひらの内側へのコントロールが可能となります。

手のひらは上向きに角度を変え、加速度的に内側へ掻き込まれることが大切です。このとき肘を張って、スピードが落ちないようにします。

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手首と手のひらの使い方

ストロークで肘が高く保たれると、前腕の延長線上にある手のひらはまっすぐ伸ばされます。このときあえて手首を曲げる必要は全くありません。手首が曲がって肘が落ちることはないのです。

肘が高く保たれると自然に手首も高くなり、その延長線上の手のひらにも水圧を感じることができます。水圧を感じることができれば、結果として大きな推進力を得ることができます。

プルのフォロースルーで、手のひらは内側へ掻き込まれた時、親指が上に向きますが、手のひらは上向くことはありません。必要以上に手のひらを反すと、フォロースルー時の胸元の抵抗を増してしまったり、腕のリカバリー動作が不自然になって抵抗になってしまいます。

フォロースルーは、手首を回しながら手のひらを合わせるようにしますが、手と手は拝むまでは合わせず、水をしっかり押さえ、水圧を感じ続けられるところまでにします。

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平泳ぎの腕のリカバリー

平泳ぎの腕のリ力バリーは他歩泳法とは違い、すべて水中で行われます。

両手は肩の下で手が揃い、その後手を揃えて進行方向へ真っすぐ伸ばしていきますが、この手を伸ばすときに、手はほとんど触れるくらいに揃えて、親指は下に向けます。

両腕は伸ばされると水中で十分にグライドしながら、水中でしばらく止まります。

しかしそのグライドをしているときに、手の動きは完全に止まることはなく、キックによるスピードに乗りながら次のプルに備えるために開いていきます。

指先は肩の位置より深くなるようにして、からだ全体はグライダーが空中を滑空するときの様に傾斜を保つようにします。

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腕のリカバリーの要領

プルが終わったら、腕を前方へ突き出すと同時に、肩をすぼめて腕を伸ばし切ります。

このとき肘が伸びきらないと、からだが前傾した流線型にならず、グライダー効果が半減します。

また、伸ばした両手は揃えて出しますが、手と手が離れているとプルの軌跡が短くなるか、十分なプレスができません。

リカバリーの間中手のひらは下に向けられていますが、プルの最終段階で手のひらが上を向いてしまうと、この動作事態が不要であるばかりでなく、抵抗になってしまうことに注意すべきです。

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平泳ぎのプルとキック

脚は両足を揃えて、つま先までまっすぐに伸ばし、親指が着いた状態から始めます。

腕によるプルが前方から横に開いて、肘が立つまでは両足は伸びています。両方の手が近づいてプルが終了するまでに膝が曲がり始め、手のひらが内側に向いたときには脚は引きつけられ、足首は踵が引き上げられると同時に足首が返ります。

両手が前方にリカバリーすると同時に、膝は後方に押し出されながら膝が伸び、脚が揃いつま先が合わさってキックが終了します。

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平泳ぎのウィップキック

平泳ぎのキックは、ルール上足は左右対称に行わなければなりません。したがって、両足の動きは同時にキックを開始して、交互の垂直な動きは反則になります。

キックは足の蹴り始めから垂直の動きを最小限にし、左右対称に楕円の軌道を描くように後方に蹴ります。踵からの蹴り出しによって足の裏は後方に返り、足は後方でつま先が合わされます。

この動作が連続して行われることによって、平泳ぎのキックによる推進力は、脚全体でムチのようにうねる動炸によって生み出されます。

縦に蹴るようなこの種のタイプのキックを「ウィップキック」と呼び、挟み込むことによって推進力を得る「エッジキック」とは対照的で、現在では主流のキックとなりました。

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呼吸動作と頭の動き

平泳ぎにおける呼吸のタイミングは、腕の掻きが終わろうとするときにあごを上げて行いますが、頭を上げるのが早すぎたり遅すぎたりすると、ストロークのタイミングが変わったり状態が起きたりして、思わぬところに水の抵抗をつくってしまいます。

また、呼吸動作でまったく頭が動かなかったり、頭を動かしすぎると水中のボディポジションに変化をもたらし、抵抗が増したりスムーズなストロークができなくなる原因になります。

呼吸動作は全体が連続してスムーズに行わなければなりません。ストロークがフィニッシュすることによって発生する上方への浮力を利用して頭を上げた時に呼吸をし、キックの蹴りだしのスピードや腕のリカバリーに合わせて、頭を前方に倒さなければなりません。

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呼吸の動作

ルール上平泳ぎは、ストロークのサイクルのどこかで1回だけ水面から出れば良いということになりますから、呼吸の時頭を上げればいいことになり、それ以外は水面下でも良いことになります。

このルールに改正されてから、キックによるスピードが最大になったとき頭を水中に没することができ、ヒップが上がってよりフラットにすることができ、からだの抵抗を少なくすることができるようになりました。

吸気は腕のストロークが終わりに近づいたときに頭が上がり、吸気のために顔が前方に上げられます。続いてストロークがフィニッシュすると同時に息を一気に吸って、手を前方に伸ばしきった時から息を吐き始めます。

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[更新日]2018/08/11