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背泳ぎのストロークテクニック

背泳ぎは、英語でバッククロール(Back Crawl)と呼ばれるくらい、クロールに似たような泳ぎで、クロールを仰向けにしたような泳ぎです。

常に顔が水面上に出ているので、クロールに比べ呼吸は楽に行えますので、初心者が最初に覚える泳ぎに適しています。ただし、進行方向が見えにくいので、方向がつかみにくいという欠点もあります。

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背泳ぎのボディポジション

背泳ぎは水中の高い位置が、正確なキックやプルをする上で必要な条件です。

水中で仰向けに横たわると、水面は耳が水中に入いり、視線は頭を動かさずに45度で後方(足先の方)を見ます。

この状態で、胸は張りますが肩をいからせてはいけません。肩が水面上に出るのは、交互のストロークでフォロースルーが終了し、ローリングによって肩は水面上に持ち上げられます。

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背泳ぎの頭と腰の位置

視線が後方に固定されていないと、からだのローリングや手の動きに合わせて、頭が左右に揺れることが起きます。からだは動いても視線は常に固定されるべきです。

水中の頭の位置は、この視線とあごの状態によって決まります。あごを引き過ぎると頭が水面上に出すぎたり、あごが上がってしまうと視線も真上になり、いわゆるストリームラインが保てません。

また、腰が折れてお尻が落ちると、腰が折れれば折れるほど、前方からの大きな抵抗となります

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背泳ぎの腕のリカバリー

背泳ぎの腕のリカバリーは、腕を交互に水面上をリカバリーします。背泳ぎは、手の入水後に浮揚力を得られるような手の動きがないので、クロールのストロークのように、キャッチアップになることはありません。

したがって左右の腕は、ほとんど180度逆の動きになります。

リカバリーの前半、つまり手が水面上に抜きあげられてから、腕が垂直までできるだけリラックスさせます。

手が肩の線を越した後半は、腕の線に手を伸ばし、身体のローリングに合わせて、肩の延長線上に指先から入水します。

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背泳ぎの肘を落としたプル

腕を伸ばししたままのプルと対照的なのが、肘を曲げすぎたままプルをすることです。

肘がはやく曲がることによる上腕と前腕に乱流が発生し、前進の抵抗となります。

また、肩のラインを越えても肘を曲げていると、プルによる十分な推進力が得られません。

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入水からフォロースルー

背泳ぎのプルは、キャッチのあと手は後方に向けます。指先が肩を過ぎるあたりから、上腕と前腕の角度が最も狭くなります。

プルは肩のラインを過ぎると、手に水圧を感じながら肘が伸ばされ、腰のラインを過ぎると腕を伸ばし切って、おしりの下に水を押し込みます。

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背泳ぎプルの終了

背泳ぎプルの完了は、手が腰を過ぎて太ももの下に水を押し込んで完了します。

肘が完全に伸び、手のひらが下を向いてプルが完了しないうちに肘が伸び切ると、押された水は太ももに向かって流れてしまいます。

また、腰の下に押し込まないで終了するため、手がまっすぐ上に抜きあげることができず、ピッチングの原因になります。

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背泳ぎのキックの強化

背泳ぎで安定したボディポジションを得るために、キックの強化は不可欠です。

強力なキックで力強い推進力を得るためには、大腿の大きな筋肉ですが、陸上でのトレーニングと水中でのキック練習をしっかり行うことが大切です。

上方への蹴りあげには、反対の脚の蹴り下ろしがなければなりません。腰から始動した膝を伸ばした蹴り下ろしによって、反対の脚が蹴りあげられます。

膝を曲げた脚が蹴り上げられ、くるぶしが水面すれすれに上がって膝が伸びきったころに、つま先はわずかに水面を割って蹴り上げが完了します。

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背泳ぎのキックと足首の柔軟性

背泳ぎのキックは、自由形のキックにくらべ、背泳ぎ全体の推進力に大きな推進力の役割を担っています。

その意味で背泳ぎのキックは、足首の柔軟性が特に重要で、裏側への伸展が大きいほど、つまり上下に良くしなるほど強力な推進力を得ることができます。

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背泳ぎキックの欠点

キックの蹴り下ろしで、膝が十分に伸びていないと、反対の脚のキックアップで膝が曲がり、水面を割ってしまいます。

良く腰の伸びたボディポジションを維持するためには、腰からうねるようなキックをすることが重要です。

踵が腰のラインを割るような膝の曲げや、膝を曲げることによって腰が落ちるのを、自転車をこいでいるようなキックになってしまいます。

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背泳ぎの呼吸

背泳ぎは顔が水面上にあるので、他の泳法にはできない自由な呼吸ができますが、逆にいえば自由な分だけ、泳ぎのリズムを乱しやすいとも言えます。

そこで、一般的に言われているのが、どちらかの腕がリカバリーをしているときに息を吸い、反対の腕がリカバリーをしているときに息を吐くというリズムがいいとされています。

つまり、ストロークのテンポに合わせて呼吸をしますので、ストロークのテンポが変化すれば、それに合わせて呼吸のテンポも変わることになります。

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背泳ぎの呼吸の要領

呼吸をする側の手のプルが終わるときに息を一気に吐き、同時に反動で吸いますが、その時口は十分に水面上に出ていなければなりません。
しかし、前述したように意識して水上に出す必要はありません。通常泳いでいれば、頭部にぶつかった水は盛り上がり、首筋にかけてくぼみます。

丁度そのくぼみの位置が水面より低くなり、その位置に口がきますから、口はそれほど意識しなくても水面上に出ることになります。

1サイクル(左右1ストローク)に一回の割に行うクロールの呼吸では、顔が水に戻った後少し呼気を行いますが、バイラティラルブリージング(左右交互呼吸)では、呼吸後に顔を水中に戻しても息を吐かないで続けます。

このことは、呼吸機能の強化と訓練に役立つばかりでなく、ストロークメカニズムの向上にも一役買うものと思います。

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[更新日]2018/08/10