バタフライを泳ぐ
平泳ぎからルール上分かれたバタフライは,手足の動きが左右対称であることは平泳ぎと同じですが,スタートとターン後の一掻き一蹴り以外は,腕のリカバリーは必ず水上でしなければなりません。
バタフライは始め,平泳ぎのレースの中で部分的に使われていたのが,1952年のヘルシンキ・オリンピックではほとんどの入賞者がバタフライで泳いだことから,1956年のメルボルン・オリンピックからは独立した泳法として登場しました。バタフライのルールは,キックは足の甲で蹴ってもよく,手は水上をリカバリーしなければならないという,平泳ぎとは独立したものに改正されました。
左右対称の動きでなければならない,という基本概念は平泳ぎから出発していますが,キックとリカバリーの関係で,泳ぎ方はクロールの影響をかなり受けました。思考錯誤はあったものの,最終的に1ストローク2キックのタイミングにしたのは,最初の200mバタフライ世界記録保持者になった長沢二郎です。しかし現在のバタフライのように,蹴りながら手を入水するタイミングになったのは,1960年代になってからです。
しかしバタフライは,スポーツとしての水泳に大きな影響を与えました。そのひとつは肩や腰の関節が,今までの水泳になかった新しい身体運動をもたらしたことです。更には水泳の技術を進歩させる上において,画期的な開発の原動力になったのです。