生きていくための最小限度の代謝を基礎代謝といいます。一日中ほとんど動かずに生活していれば,基礎代謝よりもほんの少し多いだけの生活代謝が得られるだけです。
代謝量が少いということは,いいかえれば生命活動が低下しているということであり,もっと具体的にいえば,からだの老化が促進していることになります。同じ大きさのからだであったら,基礎代謝は年を取るにしたがって少くなっていくのです。
からだを活発に動かせば動かすほど,運動もしくは労働のために必要なエネルギーを生み出すための代謝活動がさかんになります。運動をすれば,安静にしている時よりも高いエネルギーが消耗され,筋肉がエネルギーを消費する割合が増えるために,血液中にあるコレステロールや遊離脂肪酸などの高エネルギー物質が減っていくことになります。
これらが消耗されずにたくさん血液中に留まっていると,血管壁を硬く変質させて,動脈硬化,心筋梗塞,脳溢血などの疾病を起こすもとになるのです。
水の中で運動しようとすれば,陸上に比べてはげしいだけでなく,空気に比較していちじるしく熱容量の大きな水に体熱がうばわれやすいことも,代謝を促進させる一因になっています。健康的な代謝を促進させるためには,自ら活発にからだを動かすことによってしか得られないものだということを忘れてはいけないのです。