体脂肪率が理想値の範囲内で体重が安定している場合は,エネルギー摂取量と消費量のバランスが取れていると考えられるので,エネルギーの所要量を考える必要がありません。この時は栄養素の摂取バランスだけに注意していればいいことになります。ところが,体重が増加(特に体脂肪率の増加)している場合は,摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っていると考えられます。
例えぱ,過去2年間に体脂肪が10%増加し,体重が60kgから66kgになった人の場合で計算すると,
6kgx7000kcal=42,000kcal となり,2年間で,42,000kcalも過剰に摂取したことになります。1日当たりに換算すると,
42,000kcal÷(365×2年間)=約57kcal ですから,1日当たり約57kcal を2年間余分に摂取し続け,6kgを身体に蓄えたことになります。この人の体重が増加しないようにするためには,単純に1日平均57kcal分の食事量を減らすか,運動量を増やせばいいことになります。
もっと減量したい場合は,次の順序で計画します。
① 月当たりの減量目標を設定する - 月に1kgのペースで減量する。
② 運動量を決める - 週に3日,1回300kcalを消費する運動をする。
③ 運動だけでは足りない分を食事制限する - 7000kcal-(300kcal×3回x4.5週)=2950kcalだから,1日あたりにすると約100kcalを食事制限する。
このように,例えば糖分を含んだ缶飲料を飲むことが多ければ,水に代えるだけで制限することができるし,サラダのドレッシング量を少し抑えるだけで100kcalは十分達成できると考えます。
運動の種類と消費エネルギー
運動の強度 | 運動の種類 | 1分あたりの消費エネルギー |
通常の状態 | 安静~坐位~立位 | 1~1.5~2kcal |
ごく軽い運動 | 歩行,家事一般,乗物 | 3~4kcal |
軽い運動 | 自転車,ラジオ体操,ピンポン | 5~7kcal |
中程度の運動 | かけ足,バレーボール,ダンス,バドミントン,スケート,階段を昇る | 8~10kcal |
激しい運動 | 縄飛び,バスケットボール,マラソン,スキー,サッカー,水泳 | 10~17kcal |
日常生活動作によるエネルギー消費量
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※ 単位:kcal/kg/分 (日本体育協会スポーツ科学委員会) |