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運動の知識

肥満の解消

肥満とは,単に身長の割に体重が重いことをさすのではなく,体脂肪が過剰に蓄積した状態のことを言い,相対的に体重あたりの筋肉量が少ないことを意味しています。そこで,肥満を解消するということは,体重を減らすことではなくて,体脂肪を減らすことだということになります。

太りすぎかどうかの判断基準にBMI(Body Mass Index)がよくつかわれます。一般の人ではのBMI25以上が「肥満」に分類されますが,50歳を超えた人の膝痛の発祥のほとんどにこの肥満が関与していると言われています。

運動をしている時の関節にかかる衝撃は体重に比例して大きくなります。同じ体重の人が運動をするとき,肥満の人は衝撃力を和らげる筋肉が少ないので,関節への負担が大きくなると考えられます。このことからも,肥満を解消しながらの運動が大切であると言えます。

また,一般の雑誌やテレビの娯楽番組などで「ダイエット」といっているのは,「痩身(痩せること)」とか「体重の減量」をさしているようですが,本来のダイエットとは食事制限(療法)のことを言いますので,しっかり分けて使いたいものです。

食事制限だけで減量の危険性

人は安静状態でも,脂質と糖質を半々の割合で消費して生きています。体内に蓄えられている糖質の量は非常に限られており,特に血糖を供給することができる肝臓に蓄えられている糖質の量は少なく,食事をしないと約半日でなくなってしまうほどしか蓄えられていないことになります。人の脳細胞は主に血糖をエネルギー源としているため,体内の糖質がなくなってしまうと,生きていくことができなくなります。

そこで,血糖値を維持しようとして,体内のタンパク質を分解して,肝臓で糖質に変えて使おうとすることから,食事制限で糖質の摂取量を制限すると,体内に貯蔵された脂肪ばかりでなく,筋肉などのタンパク質も同時に減少してしまうのです。体内のタンパク質が減少すると,筋肉が細くなって,力が出なくなって疲れやすくなるばかりでなく,内臓や血液中のタンパク質も減少するため,貧血をはじめとずるさまざまな健康上の問題を引き起こすようになります。さらに,問題となるのは,太りやすい体質ができあがるということになります。

恐怖のダイエットと呼ばれる減量法

体重100kg,体脂肪率50%の男性の中身は,

体脂肪率50%=体脂肪50kg+除脂肪体重50kg(除脂肪体重とは,体脂肪を除いた内臓や骨や筋肉など)

体重を70kgまで減量すると,ほぼ同量の脂質とタンパク質が減少し,

減少した体重30kg=体脂肪15kg+除脂肪体重15kg

70kgの時の体脂肪率は,依然として50%である。

体脂肪率50%=残りの体脂肪35kg+除脂肪体重35kg

その結果,30kg減量しても全く肥満状態は改善されずに,依然として病的な肥満状態が続いています。そこで体重が減ったことで満足して,減量を行う前の食事を再開したらどうなるでしょうか。減量前は除脂肪体重は50kgあったのが,いまは35kgしかないことになります。このため,以前と全く同じ生活を送ったとしたら,以前の70%(35kg÷50kg)しかエネルギーを消費できなくなっています。

そこで,前と同じ食事を再開した途端に体重は増加します。体重の何が増加したのかというと体脂肪です。そして体重が元の100kgに戻った時に,体脂肪65kg,除脂肪体重35kg,つまり体脂肪率’65%になってしまうのです。これは,「リバウンド」などという,単に体重だけが増えただけの単純な問題ではないということです。

[更新日]2017/03/15