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水泳の基礎知識と泳ぎの理論

筋の使い方とバランス

私たちは陸上生活で,絶えず重力の影響を受け,常に固体と接触して安定感を得ています。空中の運動でさえ,すべて固体から得たエネルギーで,同じ重心の位置でバランスを取っています。このようにあらゆる陸上の運動は,すべてこの固体からエネルギーを得ていますが,泳ぐということは,その接触がまったくなくしてしまうことです。

水の中での固体との無接触は,重心が不安定なことから,不安感や恐怖心をもたらします。緊張することによっても,ますます体のバランスが悪くなります。水中で体のバランスを安定させるためには,水という流体の中で,手や足を動かしてある力を得なければなりません。しかし無重力で固体との接触なしにその力を得るのは,陸上のそれとは随分感じが違うはずです。

宇宙飛行士が宇宙船の中で作業をするのと同じで,動き始めは背中や胸の筋から動かし始め,最後に手先の筋を使います。無重力の水中で運動をするときも,からだの中心に近い筋から動かし始め,そして最後に手足の筋を動かすほうが効率的です。流動的な水の分子からエネルギーを得るときは,手足から動かすのではなく,からだの中心に近い筋が強く働けば,水の分子をかき乱さなくてすみます。

さらにキックの例でいえば,骨盤・ひざ・つま先は全く逆の方向に動きます。つまりけり始めのときは,骨盤が上がり,ひざが下がり,つま先は更に上がります。けり終わりのときは,骨盤はもとの位置に下がり,ひざが上がり,つま先は最も下がります。魚も全速で泳ぐときは,全く同じような動きをしますが,水の分子が上と下では反対側に動くことで泳ぐときのバランスを取っていることになります。

[更新日]2017/05/01