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水泳の基礎知識と泳ぎの理論

水泳の呼吸

人間の呼吸のしかたには,肋間筋を使う胸式呼吸と横隔膜を使う腹式呼吸があります。陸上生活が長い人間が水に入ると,陸上と同じ胸式呼吸になるのが普通です。ところが水の中での胸式呼吸は,息を吸うときは陸上と同じですが,息を吐くときは少し違います。つまり息を吸って持ち上がった肋骨が,吐くときに重力がないので下がりません。その肋骨を下げるためには,陸上の通常の呼気では使っていない胸筋を使う必要があります。そのことが呼吸筋の強化にもなり,喘息などの発作を和らげるのに役立ちます。

胸郭を形成している肋骨は,持ち上げられると広がり,肋骨の内部の肋膜も広げられ,肋膜がその内部の肺臓を引っ張って広げ,結果的に肺胞を広げて大きくします。これが陸上での安静時呼吸の仕組みですが,水中では肋骨に重力が加わらないため,陸上のふつうの呼吸では使わない筋を使って,肋骨を引き下げなければなりません。気管支の収縮などもありますが,水泳の初心者が呼気時に息苦しさを感じるのは,この胸筋がうまく使えないからだと言われています。その違和感が水に入ったときの不安感や恐怖感をもたらすのです。

内呼吸で重要なことは,無重力では重さがないため,体内の血管がある一定のバランスを取ります。各部の血圧がバランス良くなることによって,酸素の供給効率を良くすることです。潜水病になるほど深く潜らない限り,水圧が血液の循環に影響を及ぼすことはありません。

さらに人間は肺という効率のよい呼吸機能を持っていてますが,わずかではあっても皮膚から酸素を取り入れ,炭酸ガスを排出しています。水の中の運動は,皮膚呼吸の機能が最大限に発揮されることになります。

[更新日]2017/05/02