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水中運動の方法と理論

アクアウォーキングの姿勢

アクアウォーキング中の姿勢は大変重要です。悪い姿勢で歩いても,運動効果は得られないといっても良いでしょう。まず胸を張って頭のてっぺんを真上に引っ張り上げるようにして,下腹部を引き締めながら骨盤を少し前ヘ出すようにします。歩いている最中はできるだけ頭が揺れないように安定させ,視線は水平にまっすぐ前を見るようにします。

速く歩こうとして前屈みになったり,顎を出して上体を後方に反り過ぎてはいけません。歩きながら正しい歩行姿勢を維持するためには,速く歩こうとせずに上半身を水面に垂直に立てた姿勢を保ちながら,その姿勢が崩れない範囲で,できるだけ手足を大きく動かして,ゆったり歩くようにします。

姿勢が悪いと内臓にも悪影響がある

地球の陸上で生活していれば,重力が働いています。この重力の方向に対してどのような位置で姿勢を維持するかによって「よい姿勢」「悪い姿勢」が決まります。左右のバランスが均等でない状態,つまり「悪い姿勢」でいると,重力が片方に多くかかり体が歪んでしまうことになります。右利きか左利きかによっても,左右いずれかに傾いてしまうこともあるのです。

ただし,このことは陸上での習慣によるもので,重力がからだにかかっている場合に限ります。クロールなどで,得意な方向だけの片側呼吸を続けてもさほど影響はありません。水中運動などでも,重力に影響を受けない場合は気にする必要はありません。

人間の大脳が他の動物と比べ格段に進化をとげたのは,2本足で立ち二足歩行を手に入れたため,というのが定説です。ところが,2本足で直立する姿勢は,地球の重力に対してかなり無理があり,その姿勢を維持するために,背骨,骨盤,それを支える筋肉,足部の骨や筋肉などが発達してきました。

その中でも,上半身を支える核となる部分の「脊椎」または「脊柱」と呼ばれる約26個の堆骨(ついこつ)と椎間板という弾力性のある組織が交互に並んでいます。その脊柱の内部に,からだをコントロールするための全ての神経系システムが通っています。この神経系システムは,からだのあらゆる部分と脳を結ぶ,唯一かけがえの無い情報経路であり,姿勢が悪ければ,脊柱のどこかに流れを阻害する場所ができてしまいます。神経系統の情報コミュニケーションが阻害されれば,脳から発信した情報が内臓に十分に届かず,また逆に内臓の情報が適切に脳にフィードバックされなくなり,その結果としてさまざまな問題を引き起こす可能性がでてきます。

姿勢が正しいことは,脳と身体で適切な情報がやりとりされていることを意味しますから,姿勢が健康状態のバロメーターとも言うことができ,姿勢を適切に保てるようにすることが健康の維持や増進の第一歩となるのです。からだの構造と機能はいつも密接な関係にあり,神経系の流れを阻害するものは,頚椎・脊椎・腰椎の歪みに関連があるのです。

エクササイズ中の姿勢が悪ければ,結果的に運動の効果が下がるということもわかってきました。姿勢は,呼吸からホルモン生産までのあらゆる生理学的な機能に影響し関与しています。脊椎の痛み,頭痛,気分,血圧,脈拍,肺活量などは,姿勢の影響を最もたやすく受ける機能であり,呼吸から思考まで,意識上も無意識上でも,人間の全ての機能に影響を与えています。

[更新日]2017/04/12